専門日本語研修(文化・学術専門家)6か月コース

平成30年度 専門日本語研修(文化・学術専門家)
研修期間:2018年10月3日ー2019年4月3日

人生で最良の時間

  シュン トウ・リー(中国/英国)

この6か月の喜びの気持ちは、言葉では言い尽くせません。日本語研修と文楽の講義前の集合写真.png自身の研究に忙しい日々を送りながらも、日本の方々の優しさと美しい自然の風景が支えとなり研修できたことを、有り難く感じています。美術史が専門の私は、この貴重な期間に、関西と関東両方の博物館の世界的コレクションを満喫しました。さらに、研修での文化プログラムでは、日本の伝統的な舞台、能と文楽を鑑賞のほか茶道も体験し、「幽玄(ゆうげん)」と「(わび)(さび)」という日本の美意識を五感で感じ取ることができました。このほか、研修最後の2か月において、雅楽の先生から(りゅう)(てき)篳篥(ひちりき)を学ぶことを通じ、「雅」という美意識を体感することもできました。人生において最良の6か月を提供くださった国際交流基金と関西国際センターの皆様に感謝申し上げます。

私たちの6か月

アズザヤ・バダムジャブ(モンゴル)

研修が終わる3月末、私たち、コースの百人一首のかるたとり.png研修生は、日本語での会話を練習するための「会話パートナー」のボランティアの方々の招待で、和歌山市へ行きました。天気にも恵まれ、招待くださった場所には桜も美しく咲いていて、私は素晴らしい仲間と参加できたことを、本当にうれしく思いました。

                       

この6か月の研修の間、私たちは地域の方々との様々な交流活動に参加しました。田尻町地域ガイド、高野山日帰り旅行、ホームビジット、小学校訪問、堺市訪問、国際日本文化研究センター訪問、そして和歌山六三園訪問など、どの交流プログラムも、私たちには素晴らしい体験となりました。田尻町国際クラブ・阪南市日本語クラブの皆さま、岬町立淡輪(みさきちょうりつたんのわ)小学校の生徒・先生方、ホストファミリーの皆さま、そのほか交流くださったすべての方々に感謝の意を表したいと思います。      

私たちはそれらの交流を通じ、日常生活の日本語、日本の文化・習慣、日本人のものの和室での茶道体験.png感じ方などについてたくさんのことを理解することができました。そして、日本を理解することによって、私たちの考え方は、自然とよい方向へと変わってきたように思います。

 研修では、交流プログラムのほかに日本文化を幅広く学ぶ機会もありました。京都での能・狂言、国立文楽劇場での文楽鑑賞、また、センターでは、生け花、和太鼓、茶道、書道などを実際に体験することができました。日本語学習だけでなく日本の文化、日本人の意識を知ることは、私たち研修生にとっては、自国の特徴が映った鏡を見ることでもあります。日本の文化を知ることで、私たちは自分たち自身への理解も深めることができました。

 そして、この研修で私にとって一番大切なものとなったのは、同じコースに参加した研修生の皆さんとの交流でした。研修生同士の交流は、言葉や文化の違いを超えて、世界の人々との間に友情を育ててくれました。違う国の同年代の人たちと意見交換することは、私たちにとってめったに経験できないものであるということは、言うまでもありません。

書道体験 作品といっしょに.png

死ぬまでにすべての国の人と会うことは、おそらくもちろん不可能なことです。それでも、自分の知らない環境や文化に暮らしている人たちと、少しでも接点をもつというのは、純粋に楽しく、驚きも多く、何より、自分自身の理解・成長につながると思います。

研修では、同世代の研究者たちと色々な意見交換ができ、充実した時間を過ごすことができました。帰国後の未来においても、私はこの交流を発展させ、続けていければと思っています。

最後に、このような貴重な機会を提供くださった国際交流基金関西国際センターの先生、スタッフ、司書の方々に、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

研究者のための日本語学習

ユジョン・ジャン(韓国)

関西国際センターは専門家になろうとする和菓子作り体験.png研究者に良質の日本語教育を提供します。私が教育を受けたセンターの専門課程日本語授業の特徴は次の3つに整理することができます。

第一は、このプログラムで、専攻分野で活用できる日本語を習いました。 センターでの日本語教育は午前と午後に分かれています。午前中は文法、漢字、会話など自分のレベルに合う授業を受けます。午後には専攻分野に関連した資料読解、インタビュー会話、専攻関連の作文など研究者に役に立つ日本語を勉強しました。一般的に使える会話だけではなく、専攻分野の研究者たちと会話することができる日本語を学習しました。したがって、6か月後には、すべての研修参加者が、自分の専攻分野に関連した日本語プレゼンテーション、公式の場での挨拶をすることができるようになりました。

第二は、日本語の勉強の中で難しい部分である漢字学習がセンターではかなり体系的に行われます。 書くことではなく読むことを中心に練習します。漢字の意味が分かっても日本語で読むことができなければ日本語として分かっているとは言えません。したがって、センターでは日本語でよく使う漢字から習い、それを活用する練習をしました。また、専門読解、研究書の作文の時間には日本で使う研究の漢語が学習できました。漢字コンピューターの授業の時間には、漢字語彙を入力する練習をし、漢字を習得する能率が更に上がりました。

授業後、教室で先生といっしょに.png

第三は、センターは日本語の勉強において最適な環境です。センターは静かな田尻町に位置しています。海辺に近い町で日本語に集中して自分の研究分野に没頭できます。

また、センターにはいい図書館があります。親切な司書のみなさんが各研修生の専門に必要な資料を一緒に調べてくれました。そして研究分野の参考図書をすすめてくれました。図書館には各国の言語で書かれている日本語教材や資料が揃っているので有効に活用できます。

センターは文法と会話を中心とするその他の語学研修とは異なります。日本で日本語の海に溺れて自分の専攻分野の日本語という灯台に向かって前進する所です。私は今年の6か月間、良質の日本語教育を受けました。どんな場所でも学ぶことのできない素晴らしい経験でした。

将来へつながる6か月

イー・シャン(中国/米国)

小学校訪問での校内見学.pngこの6か月の研修とセンターの支援は、博士論文の研究を進めるのに大変役に立つものでした。最初の2か月の間は、専門活動のために色々な準備をしていただいたのですが、例えば、国立国会図書館関西館と国際日本文化研究センターの訪問プログラムがなければ、日本にある様々な研究資料の活用や施設利用の機会について理解できなかったと思います。また、関西国際センター図書館の司書の方々も、日本の学術情報の検索や図書館訪問の手続きなどで力を貸してくださいました。そして、毎週の個別授業では、チューターの先生と一緒に日本語で書かれた研究文献を読み、専門分野の日本語について理解を深めることができました。

また、関西国際センターの専門活動支援経費のおかげで、色々な図書館を訪問しました。研修資料を収集するとともに、自分の研究テーマについての理解も深めることができました。私は、近世東アジア書物の収蔵について博士論文を書いていますが、専門活動集中期間に東京の静嘉堂文庫と東洋文庫で中国の宋・元時代の書物にふれ、意外な跋語(後記)も発見することができました。このほか、センターの支援で、京都大学人文科学研究所図書室を度々利用することも可能でした。専門活動から得た資料を通し、私が研究を進めている蔵書家京都嵐山での集合写真.pngたちの蔵書の様相を直に窺い知ることができたことで、これまでの研究の改善点が分かっただけでなく、今後の研究の進展をはかるうえで方向性も見えてきました。

資料収集のほかにも、研究に特化できたこの期間は、日本にいる研究者の方々とのつながりを築く機会ともなりました。要約すれば、6か月の研修において私が得たさまざまな資料や貴重な経験は、これから研究者として歩む時間に、とても大きな影響を与え続けていくものになると確信しています。

トップへ戻る